「農林水産業」
農業産出額は2008年(平成20年)で583億円であり、1985年(昭和60年)の1,087億円の54%に相当する水準まで減少している。作付面積では2004年(平成16年)で水稲72%、野菜9%、豆類5%、果樹3%となっており、稲作が中心である。米の品種別ではコシヒカリが70%強を占めている。野菜では販売額の16%を占めるスイカが最も多く、次いでダイコンの13%となっている。果樹ではナシが販売額の50%を占め、ブドウの24%が次に多い。乳牛、肉牛、豚、採卵鶏の飼育頭数は減少傾向にあるが、農家1戸当たりでみると乳牛は全国4番目、豚は全国6番目に多い。
地域の特徴を活かした農産物のブランド化が図られている加賀野菜は、金沢地区で戦前から栽培されていると認められた野菜である。金時草、加賀太きゅうり、加賀れんこん、源助だいこん、打木赤皮甘栗かぼちゃなど15品目が認定されている。能登野菜は能登地方の風土を活かして生産された伝統野菜、特産野菜のことで中島菜、沢野ごぼう、金糸瓜など13品目が認定されている。果樹では、石川県農業総合研究センターが開発した新種のブドウがルビーロマンと命名され、高級ブドウとして販売されている。県内で飼育された黒毛和種の肉牛のうち品質の高いものは能登牛と認定する制度が設けられている。
林業産出額は2008年(平成20年)で28.6億円となっており、1985年(昭和60年)の69.2億円の41%まで減少している。このうち木材生産は16.5億円、特用林産物は12.1億円である。一方で木材供給量に占める県産材の割合は1975年(昭和50年)の18%から、2009年(平成21年)の39%に上昇している。樹種別原木の生産量では、2009年(平成21年)でスギが全生産量の84%を占め、次いで能登ヒバ8%、マツ4%となっている。なお能登ヒバは能登地方で産出されるアテ(ヒノキアスナロの地方名)のブランド名である。2009年(平成21年)の特用林産物の生産量は生シイタケが853トンと最も多く、次いでエノキタケ208トン、ナメコ169トンなどとなっている。1975年(昭和50年)に約2,000トンを生産した木炭は113トンにまで減少している。
海面漁業・養殖業の生産は、2005年(平成17年)で60,306トン、219億円である。これは本州日本海側の12府県では生産量で3番目、生産金額で1番目に多い。2010年(平成22年)の魚種別の漁獲量ではカタクチイワシが最も多く、次いでスルメイカ、ブリ、マアジ、ハタハタ、カレイ、ズワイガニ(ベニズワイガニを含む)、サワラ、マダラなどが多い。2008年(平成20年)のブリの漁獲量は都道府県別で最多である。海面養殖業の生産量は2005年(平成17年)で2,560トンとなっており、七尾湾でのカキ養殖がほとんどを占めている。内水面漁業では、アユが主だが、渓流でヤマメ、イワナ、カジカ、湖沼でコイ、フナが生産されている。また、水産加工品の生産量は、2009年(平成21年)でかまぼこ類が13,942トン、生鮮冷凍水産物が6,136トン、水産物つくだ煮類が1,267トンなどとなっている。
水産物のブランド化に向けた取組も見られる。毎年11月から2月にかけて能登半島沿岸域の定置網で水揚げされる7kg以上のブリは天然能登寒ブリとして出荷される。また、石川県で水揚げされる雄のズワイガニのうち品質が良いものは加能ガニとされ、専用のタグが取り付けられる。なお、石川県ではメスのズワイガニは香箱ガニと呼ばれている。石川県漁業協同組合が定める「石川の四季のさかな」は、春はカレイ、サヨリ、夏はイカ、秋はアマエビ、冬はブリ、ズワイガニ、香箱ガニである
「製造業」
石川県の製造品出荷額等は2010年(平成22年)で2兆3,558億円となっている。同年以前20年間で最高だった2007年(平成19年)の2兆8,743億円に比べると18%減少している。産業別では電子部品が5,112億円と22%を占めて一番多い。次いで生産用機械が4,307億円 (18%)、情報通信機器1,931億円 (8%)、繊維1,806億円 (8%)、食料品1,340億円 (6%) などとなっている。市町別にみると、小松市が4,874億円で最も多く、白山市4,118億円、金沢市3,585億円、能美市2,197億円、川北町2,096億円など加賀地方に集中している。
建設機械では小松市を創業地とするコマツがある。建設機械の国内シェアで1位、世界シェアではキャタピラーに次いで2位を誇る。市内にはコマツの工場やその関連企業も多く、企業城下町を形成している。
電気機器分野では白山市の EIZO はコンピュータ用ディスプレイ、金沢市のアイ・オー・データ機器はコンピュータの周辺機器の生産を行っている。かほく市に本社を置く PFU は富士通の完全子会社であり、イメージスキャナの生産では世界トップシェアである。また、金沢村田製作所など村田製作所の関連企業も多く、電子部品の生産が盛んである。
石川県の企業はニッチ市場で活躍する製造業が多いのが特色である。金沢市内に本社を置く津田駒工業は織機で世界シェア1位、澁谷工業は飲料の瓶詰め装置で国内シェア1位、石野製作所も回転寿司#コンベアの国内シェアの大半を生産している。また、加賀市の大同工業は二輪車後輪駆動用チェーン、月星製作所は二輪車用スポークで、いずれも国内シェアの大部分を占める。
伝統工芸が盛んであることも特徴である。金沢市で生産されている金沢箔は金箔の国内シェアの98%以上を占めている(銀箔の国内シェアは100%)。地域ブランドとして知名度の高い輪島市の輪島塗は、国が伝統工芸品として指定する漆器の中で生産量が最大である。この他にも、加賀地方で作られる九谷焼、加賀市の山中塗、金沢市の金沢漆器、金沢仏壇、加賀友禅、白山市の牛首紬、美川仏壇、七尾市の七尾仏壇、輪島市の能州紬、珠洲市の珠洲焼などが生産されている。
「商業・サービス業」
商業年間商品販売額は2007年(平成19年)で4兆1,576億円である。このうち卸売業が2兆8,182億円、小売業が1兆3,394億円となっている。卸売業では飲食料品卸売業(8,082億円)、機械器具卸売業(7,667億円)が多い。小売業では各種食料品小売業(1,763億円)、百貨店・総合スーパー(1,402億円)などの生活関連のほか、自動車小売業(1,861億円)、燃料小売業(1,700億円)といった自動車関連が多くなっている。
市町別では金沢市が67%(2兆7,869億円)を占めている。次いで野々市町(現・野々市市)10%(2,662億円)、白山市9%(2,530億円)、小松市9%(2,384億円)となっており、金沢市を中心に加賀地方に偏在している。能登地方で最も多いのは七尾市5%(1,477億円)である。商業集積地別では香林坊商店街(414億円)、武蔵商店街(237億円)、近江町市場商店街(118億円)など金沢市中心部への集積が顕著だが、車社会を反映して近郊の国道沿いに位置する金沢市の諸江地区商店街(120億円)、杜の里商店会(119億円)、野々市町(現・野々市市)の御経塚サティ(現・イオン御経塚)周辺商店街(156億円)、白山市のフェアモール松任周辺商店街(153億円)などの販売額が多いのも特徴である。また、2006年(平成18年)にJR金沢駅前に開業した金沢フォーラス周辺商店街の販売額が65億円となっており、既存の金沢百番街(96億円)、ポルテ金沢周辺商店街(19億円)などと合わせ、JR金沢駅前が新たな商業集積地となっている。
2003年(平成15年)度のサービス業事業所(民営)の収入額は1兆221億円となっている。業種別では映画館、劇場、遊園地などの娯楽業(2,220億円)が最も多く、次いでホテル、旅館などの宿泊業(1,227億円)、一般飲食店(1,091億円)となっている。
石川県を訪れた観光客は2010年(平成22年)で2,150万人、観光消費額は2,717億円と見込まれている。県内を金沢地域、白山地域、加賀地域、能登地域に区分した場合、それぞれ金沢地域は815万人585億円、白山地域は99万人73億円、加賀地域は557万人874億円、能登地域は683万人1,185億円となっている。金沢地域は県内客の割合 (47%) や日帰り客の割合 (69%) が比較的高いのが特徴である。また関東からの県外客が多くなっている。能登地域は58%が県外客で関東、近畿、中京から同程度の入り込みがある。加賀地域は県外客の割合 (69%) や宿泊客の割合 (45%) が高い。特に関西からの入り込みが多いという特徴が見られる。宿泊地別で多いのは、金沢市内の宿泊施設228万人、加賀地域では山代温泉85万人、山中温泉53万人、片山津温泉44万人、粟津温泉30万人、能登地域では和倉温泉89万人などである。また、観光客の利用が多い施設は、金沢地域では兼六園170万人、金沢21世紀美術館158万人、金沢城公園107万人、白山地域では白山比咩神社67万人、加賀地域では木場潟公園59万人、いしかわ動物園33万人、能登地域では能登食祭市場80万人、気多大社72万人、輪島朝市71万人、千里浜69万人、のとじま臨海公園水族館45万人などである。
(ウィキペディアより)