公示送達とは?
民事訴訟では訴えを提起したい側(申立人)が裁判所に訴状を提出します。そして裁判所は提出された訴状に不備がなければ訴えられる側(相手方)に口頭弁論の期日を記載した訴状を送達します。
被告側は口頭弁論の期日までに申立人の主張する事実関係の認否や事実にもとづく主張を述べた「答弁書」を裁判所に提出します。裁判当日には、原告と被告は法廷で証拠を出し合い、事実上または法律上の問題を争います。申立人が相手方の所在や住所がわからない場合には訴状を送ることが出来ないため、裁判を起こすことが出来ません。この場合に申立人が相手方に訴状を送ったと見なされるのが「公示送達」という制度です。
簡単に言うと申立人が訴えたい相手の現住所や勤め先がわからない、あるいは相手が海外在住など何らかの理由により送達が出来ない時に必要条件を満たすことで訴状を送ったものとみなされる制度です。簡易裁判所に公示送達を申請し、これが認められれば文書が裁判所前の掲示板に2週間掲示(民事訴訟法第112条)されます。これにより所在や住所のわからない相手方に対して訴状が送達されたものと見なされます。
公示送達が認められれば相手方が訴訟提起の事実を知らない場合であっても裁判手続は通常どおり進み被告は欠席扱いのまま原告の請求が認められます。一見すると申立人に有利な制度のようなイメージを抱きますが当然ながら相手方の所在や住所がわかっているのであれば公示送達を利用することは出来ません。
また公示送達の申請を簡易裁判所に認めてもらうためには、相手方の所在・住所がわからず訴状の送達が困難であることを証明しなければならないため簡単に制度を利用することはできません。そのための現地調査が「公示送達の住居所調査」です。
付郵便送達とは?
「公示送達」とは違い、相手方が住居所に居住しているのにも関わらず居留守等を使って裁判所からの書類を受け取らない場合に、書留郵便に付する形で普通郵便を発送することで相手が受領拒否したとしても相手に送達されたとみなすことができる制度が「付郵便送達」です。
付郵便送達を行うためには、相手方の住居所へ行き「送達者が付郵便をするその住所地に確実に居住していること」及び「受送達者の就業場所が不明であること」を証明するために現地調査を行い裁判所に「調査報告書」を提出する必要があります。
主な調査内容は「公示送達」の場合とほぼ同じです。