シーフードレストランのスーパーバイザーをしていた私の人生は、西麻布で食べた一杯の博多ラーメンによって一転しました。
たまたま通りかかった店だったのですが、通り過ぎた後もどうしても気になって。
わざわざ引き返し、行列に並んでまで食べたんです。
感動しましたね。表面が一見ギトギトに見えて実はすごく上質なコラーゲンで、その下には肉片と飲み口のスッキリとした豚の白湯スープが層になっていました。
料理人の端くれとして、それまで美味しいものを食べたことは数あれど、感動まで覚えたのは初めてでしたね。それなのに、1杯600円。
翌日には、求人もないのに「雇ってほしい」と直談判しに行き、何度も断られた末、「洗い場で良いなら」と言って頂くことができたのです。
それからは家族に内緒で会社を辞め、時給800円のアルバイト生活になりました。
和食の板前として住み込みで7年、足掛け10年和食の世界に携わって来ましたので、徒弟制度には慣れていました。だから、並大抵ことでは負けない自信がありました。
でもとんでもなかった。12坪で月間1000万円以上を売上げる店でしたから、ランチタイムともなると200名の客が怒濤のように入れ替わるんです。
20秒で麺が上がる、そのスピードたるや!
盛りつける自分の手元以外を見る余裕なんてなかったです。
それが2ヶ月程してようやく店の中を見渡せるようになって、ふと思いましたね。
(家で留守番している奥さんと子供達は、この味を知らないで一生を終わるのかな。)
もう、いてもたってもいられなくなり、多店舗展開を親父さんに提案しました。
1年2ケ月後には大手食品メーカー2社の支援を頂き、最終的に全国18店舗まで拡大。
この出店ノウハウとスープづくりのノウハウを、自分たちのためではなく、人のために活かせないかと考え、親父さんや関係者から了承を頂いた上で、クックピッドをスタートしたんです。
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