日本での起業から20年。日中の交流促進にかける熱き想い。

中国のために、日本のために。

上海交通大学精密儀器工学科の学生だった頃に、改革開放政策が始まりました。

海外の情報や思想、知識、文化などが沢山入ってきて、今以上に自由な時代でしたね。

私は修士まで勉強して修了後に大学に残り、教師になっていましたが、教師であっても会社を作れたし、自分の大学の技術を応用してものづくりもできたんです。

70年代の中国は、日本と比べると経済的にも技術的にも100年分くらい遅れていて、中国の経済発展に貢献したいという思いを強く抱いていたので、自分の技術や研究内容を応用して、早く自分の会社を作るために、大学の先生から技術を応用する許可をもらって、昼は大学の教師、夜は工場に行って研究をするという毎日を過ごしました。



1988年10月に日本国文部省の国費留学生として来日し、東京大学工学部機械情報工学科博士課程に入学して、1992年3月に工学博士学位を取得。

中堅企業である株式会社寺岡精工に入社しました。

入社後すぐにプリンタに組み込まれるソフトの開発を一人で任された経験は、知識や技術という面において、私に大きな成長を与えてくれましたね。



4年後にジャストウェア株式会社を設立したのは、Windowsの誕生がきっかけでした。

将来必ずパソコンでプリンタを制御するソフトの需要が出てくると考えた私は、アメリカの友人にWindowsのパソコンを入手してもらい、ゼロから勉強しました。

昼間は寺岡精工で働き、夜はWindowsについて勉強する。そんな生活でしたね。

そして自力でソフトを開発し、寺岡精工の社長の販売における応援もいただき、ようやく独立を実現できたんです。



日本で就職を決める時、実は大手企業への就職という選択肢もありました。

でも、これまでの経験は中堅企業だからこそできたことで、今でも寺岡精工とは長いおつきあいをさせていただいています。

あの時の決断は間違っていなかったなと思いますね。

 

弊社では現在システム開発と、日中間のイーコマースを手掛けています。

メインはシステム開発で、ウェブ系から制御系まで幅広く対応できるのが強みですね。

中小企業が開発部隊を持つとなると負担がすごく大きいですから、私たちがその会社の開発部隊になれればと考えています。



受託開発だけでなく自主開発と共同開発を行うのも特徴です。

自主開発により様々な標準パッケージソフトウェアを持ち、低コストと短納期でシステムを作り上げることが可能です。

共同開発では初期開発費の一部だけを頂いて残りの金額はシステムの運営収益や商品の販売売上からシェアする、言わばレベニューシェア方式を取ります。

製品が売れれば、新しい商品に投資していくのです。

これであれば初期投資を抑えることができ、リスクも分担できますので、中小・ベンチャー企業には非常に喜ばれますね。



また、新たに始めた日中間イーコマースでは、日本の商品を中国の消費者に販売する（ECプラットフォーム）ことと、中国の観光客を日本に呼び込む（インバンドプラットフォーム）ことに携わっています。

営業や販売などはパートナー企業の方で行い、うちは技術サポートを専門に行います。

これを始めたキッカケは、6年前に個人で日本に来る中国人観光客向けの、日本のガイドブック制作を手伝ったことでした。

17年に渡ってお世話になって来た日本に対する恩返しというか、納税以外の部分でも役に立ちたいという思いがありましたから、インバウンドや日本の商品の販売という部分で手伝えればと思ったんですよね。



5つのwebサイトを作り、2012年に上海の5つ星ホテルで発表会をして、日中国交正常化40周年のタイミングでしたから、非常に成功しましたね。

残念ながら、その後の政治的な問題で日中関係が冷えてしまい、イーコマース以外のサイト運営は止まってしまいましたが、今でも日中間の関係が少しでもよくなってほしいという想いを込めています。

この事業が社会貢献になるのであれば、利益に関係なく価値があると思っていますね。

 

会社設立から、今年度で丁度20年。様々なパートナー企業が協力して下さって、安定経営を続けることができました。主力商品「ラベル博士」は１万本以上販売され、商品も二十数種類あり、共同運営又は管理保守しているWebサイトも二十数種類あります。

日本東京、中国上海と武漢に会社があって、社員数も５０名を超えました。



今後は、開発技術者という人材の確保がますます難しくなりますので、技術者に頼らないビジネスモデルを確立するためにも、日中間イーコマースに注力することを考えています。

将来は日本の中小メーカーの商品も簡単に中国へ販売でき、中小観光施設も中国人観光客を呼び込めるようにして、日中両国の民間交流を促進し、日中両国の友好関係の構築に貢献していきたいですね。

 

掲載元：ONLY STORY